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糖尿病

糖尿病とは

糖尿病とは、血糖値(血中のブドウ糖)が高い値を維持している状態を言います。食事をすると血糖値が上昇し、インスリンというホルモンが膵臓から分泌されます。
このインスリンが糖尿病にかかると分泌されにくくなり、血糖値が高い状態が慢性的に持続するようになります。
高血糖をそのまま長く放置し続けると、血管が傷つき、網膜症、神経障害、腎症、脳や心臓の血管障害などの慢性合併症を発症します。
重症化すると失明や腎不全、下肢切断に至ることもあり、生活の質(QOL)に大きく影響します。

日本では5人に1人以上が糖尿病またはその予備軍と言われていますが、早期からの適切な治療により合併症や重症化を予防できます。
糖尿病は一度発症すると完治は難しいとされていますが、血糖値を適切に管理し正常値に保つことで快適な日常生活を送ることが可能になります。
当院では、糖尿病の専門的な診療に必要な尿検査、血糖値、ヘモグロビンA1cの検査を行うことができます。
検査結果を丁寧に説明し、治療方針を決定し、適切な医療を行います。
血糖値が高めの方、糖尿病が気になる方は、お気軽に当院までご相談ください。

糖尿病の症状

インスリンの分泌が低下すると、血糖値が上昇し、体内の血中濃度も上がります。
そのため、体は血中の濃度を薄めようとして、細胞内の水分を血中に移動させます。
そして細胞の水分が減って脱水状態になると、喉が渇くようになります。
そこで大量の水分を摂取すると尿が増え、多尿症状が現れます。
その結果、体重の減少などの症状も現れますが、これらは糖尿病が進行した段階の症状となります。
しかし初期段階では自覚症状がほとんどなく、血糖値の異常が健康診断などで見つかり、そこで初めて気づくことが多いと言われています。

糖尿病が疑われる主な症状

  • 体がだるい
  • 疲れやすくなった
  • 尿の匂いが違う
  • 手足の先の痺れ
  • 重度の倦怠感
  • 頻尿・多尿
  • 喉が渇き、水をたくさん飲む
  • 視力の低下
  • 疲労感
  • 残尿感
  • 体重減少、食べているのに痩せる
  • 足のむくみ

糖尿病になりやすい方

糖尿病の原因は、遺伝的要因と環境要因の2つに大別されます。

①遺伝的要因

糖尿病の患者様がご家族にいる場合、同じ遺伝子や体質などの遺伝的要因で糖尿病になりやすいと考えられています。
日本人は欧米人と比較してインスリンの分泌が少ないため、糖尿病になりやすいと考えられていますが、上記のようにご家族に糖尿病の方がいた場合でも、食生活を含めた生活習慣に配慮することで糖尿病を予防することは可能です。

②環境的要因

間食が多かったり、間断なく食べ続けたりなどの慢性的な食べ過ぎ、肥満、運動不足、お酒を飲みすぎる習慣、ストレス、そして加齢などは、糖尿病の発症を促進する要因となります。
日常の生活習慣は、糖尿病の発症に大きな影響を与えます。今は痩せていても、過去に肥満だった経験がある方は注意が必要です。

糖尿病の種類

1型糖尿病

1型糖尿病は、膵臓のインスリンを作る細胞(β細胞)が破壊され、β細胞から分泌されるインスリンの量が激減して血糖値が高くなる病気です。
高血糖の状態が長く続くと生命に関わる危険性があるため、インスリンを注射で補充して血糖値を抑える必要があります。

2型糖尿病

2型糖尿病は、インスリンの分泌が不十分であったり、インスリンは分泌されているものの十分に機能していなかったり(インスリン抵抗性)するために、高血糖が続く状態です。
糖尿病全体のうち、約90%が2型糖尿病にあたります。インスリンの分泌が低下する要因としては、遺伝的体質、運動不足、脂肪の過剰摂取(太りすぎなど)、食生活などの生活習慣が挙げられます。

糖尿病の三大合併症

細小血管障害とも呼ばれ、糖尿病でのみ起こる合併症です。主に細い血管の障害によって症状が現れます。
糖尿病性神経障害、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症などで、初期段階では自覚症状がほぼなく、血圧や脂質の管理が不十分だと病状がさらに悪化します。早期発見のためには、日頃の定期的な検査が大切です。

糖尿病神経障害

糖尿病で血糖値が高い状態が続くと、末梢神経の代謝に異常をきたし、神経に栄養を送る血管の血流が低下して神経障害が起こります。
主な症状としては、手足の痺れ、手足の末梢神経障害(末梢神経障害により、ケガや火傷を自覚できない)があります。
また、筋力低下、筋萎縮、発汗異常、胃腸障害、めまいなどの自律神経障害症状も挙げられます。

糖尿病網膜症

糖尿病により網膜への血流が妨げられることで、視力が低下します。
失明に至ることもあるので注意が必要です。
白内障に繋がることも多いため、定期的な検査が必要です。
当院では眼科と連携しながら検診を行っています。

糖尿病性腎症

腎臓の糸球体にある毛細血管の血流が悪化すると、腎機能が低下し、ろ過機能も低下します。
これにより、尿の量が減少し、老廃物が効果的に排出されなくなります。腎障害が進行すると、透析治療が必要になる可能性があります。
さらに、その他の合併症としては、脳梗塞、心筋梗塞、脳卒中、血管障害(下肢閉塞性動脈硬化症など)、感染症、認知症、骨粗鬆症、サルコペニア(筋力の低下)などが挙げられます。
糖尿病検査では、尿検査や血糖値、ヘモグロビンA1c(HbA1c)を検査して、結果を踏まえて最適な治療を行っています。

糖尿病性ケトアシドーシス

糖尿病の急性合併症の一種であり、糖尿病昏睡の一形態です。
喉の渇き、多尿、全身の疲労感などの症状が現れた後、急速に進行し、呼吸困難や悪心、嘔吐、腹痛、意識障害などの症状が顕著になります。
糖尿病ケトアシドーシスは、主に1型糖尿病で見られるインスリンの絶対的な不足に起因していますが、2型糖尿病でも発生する可能性があります。

原因

1型糖尿病の発症時、または治療が不十分であったり、治療が中断されたりした場合などに、血糖値の調節機能が不良になり、急激にインスリンの必要量が増加することによって起こります。
同様に、2型糖尿病も治療の不十分、あるいは感染症や外傷などが原因で血糖値の調節機能が悪化した際に発生することがあります。
近年では、SGLT2阻害薬の使用によって、高血糖が見られなくても糖尿病ケトアシドーシスを発症することが報告されています。

所見

脱水、アセトン臭(ケトン体の増加による甘酸っぱいにおい)、血圧低下、頻脈、深く大きな呼吸(クスマウル大呼吸)が現れます。
血糖値は300mg/dL以上、高ケトン血症、アシドーシスが見られます。

治療

生理食塩水を主成分とした輸液によって、水分とナトリウムを速やかに補給することが重要です。
それに加えて、電解質の調整や適切なインスリンの投与により、高血糖とアシドーシスを適切に補正する必要があります。
適切な処置が遅れると致命的な結果につながる可能性があるため、気になる症状が現れた場合は、なるべく早めに医師の診察を受けましょう。

糖尿病の治療方法

糖尿病の初期には症状がほとんど目立たないため、早期に病気を発見し、治療を開始することが重要です。
自己判断せずに適切な治療を受け続けることで、症状の進行や重篤化を防ぎ、合併症を予防することが可能です。
治療には食事療法、運動療法、薬物療法の三つ方法を組み合わせ、血糖を適切に管理することで、通常の生活習慣を維持する助けになります。高血糖や糖尿病と診断された場合は、早めに当院までご相談ください。

食事療法

糖尿病における最も効果的で重要な治療法が食事療法です。適切な食事摂取を心がけながら、必要な栄養素を補給することで血糖値を管理します。
医師の指示のもと、脂っこいものなどの外食やアルコールなどの過剰摂取に注意しながら、エネルギー量に気をつけていきます。

運動療法

運動習慣をつけることによって、ぶどう糖と脂肪を燃焼させながら、血糖値を下げ、インスリン抵抗性の改善を目指します。
無理のない範囲で運動を継続することが効果的です。服薬中や合併症をお持ちの方は、運動制限が必要な場合もありますので、医師の指示のもと適切な運動を心がけましょう。

薬物療法

治療法には、経口血糖降下薬とインスリン注射の2つの種類があります。
1型糖尿病の場合はインスリン注射が主な治療法となります。
2型糖尿病の場合は食事療法や運動療法が改善に不十分な場合、経口血糖降下薬、GLP-1製剤、またはインスリン注射が検討されます。
インスリン注射は、患者様のインスリン不足や不活性な状態を補完し、膵臓を休ませる効果があるため、比較的穏やかな治療法と見なされています。
当院では、GLP-1製剤やインスリン製剤の自己注射、そして血糖計の自己測定に関する指導も行っています。