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脂質異常症(高脂血症)

脂質異常症(高脂血症)とは

脂質異常症とは、血中の脂質であるLDLコレステロール(悪玉コレステロール)、HDLコレステロール(善玉コレステロール)、中性脂肪(TG)のいずれかが異常な値を示す状態です。
脂質異常症は動脈硬化を進行させ、心筋梗塞や脳梗塞、狭心症などを発症するリスクを高めます。 初期段階では症状がほとんど現れないため早期発見を心がけ、生活習慣の改善、薬物療法などで適切な脂質レベルを維持することが重要です。

脂質異常症の分類

①原発性脂質異常症

  • 家族性高コレステロール血症(FH)
  • 家族性複合型高脂血症(FCHL)
  • 家族性Ⅲ型高脂血症
  • 原発性高カイロミクロン血症
  • シストステロール血症
  • 脳腱黄色腫症
  • タンジール病

②続発性脂質異常症

高LDLコレステロール血症

甲状腺機能低下症・ネフローゼ症候群糖尿病・原発性胆汁性胆管炎(PBC)・閉塞性黄疸・クッシング症候群・薬剤

高TG血症

肥満・糖尿病・飲酒・クッシング症候群

脂質異常症の症状

脂質異常症の症状 特に顕著な症状は見られませんが、脂質異常症に伴う動脈硬化が進むと血流障害が発生します。発生した血流障害の場所によって異なる症状が現れます。
心筋梗塞や狭心症の場合には急激な胸痛、脳梗塞の場合は突然の痺れや片麻痺、発話障害などが発生します。TGの上昇により急性膵炎の発症リスクが上がり、脂質が臓器に蓄積すると眼瞼やアキレス腱の黄色腫なども現れます。

脂質異常症の診断・検査

絶食を10時間以上行い、空腹時に採血します。
診断は次のように計算されます。

LDLコレステロール140㎎/dl以上 高LDLコレステロール血症
HDLコレステロール40㎎/dl未満 低HDLコレステロール血症
トリグリセリド(TG)150㎎/dl以上 高トリグリセリド血症

当院では脂質異常症と診断された場合、患者様の生活習慣や病歴などを詳しく問診し、体重や血圧を測定します。
さらに、糖尿病、腎臓障害、肝臓障害の有無を確認し、二次性脂質異常症の可能性を除外するために甲状腺ホルモンも検査します。また、動脈硬化の有無を確認するために心電図検査、腹部エコー検査、頸動脈エコー検査、心エコー検査なども行う場合があります。

脂質異常症の治療

患者様それぞれの、今後の冠動脈疾患リスクを予測し、ガイドラインに従って脂質管理目標の具体的な数値を設定します。

低リスクの方 LDLコレステロール<160㎎/dl
中リスクの方 LDLコレステロール<140㎎/dl
高リスクの方 LDLコレステロール<120㎎/dl
既往のある方 LDLコレステロール<100㎎/dl
高TG血症の方 一律に150㎎/dl未満を目指します。

①生活習慣の改善

脂質異常症の治療に最も重要なのは生活習慣の改善です。適正体重を維持することが重要であり、食事療法や運動療法、禁酒・禁煙などを実施します。
薬物療法を始める前に、まずは生活習慣の改善によって数値を正常化させます。
特に肥満の方が体重を減らすと、数値が正常に戻り、同時に高血圧 糖尿病、脂肪肝など他の症状も改善する傾向があります。

②薬物療法

生活習慣を改善しても数値が戻らず改善が見られない場合には、薬物療法が行われます。
スタチン系薬剤は高 LDL コレステロールの治療に用いられ、フィビレート系薬剤は高トリグリセリド血症の治療に使用されます。
さらに、エゼチミブ、PCSK9阻害剤、EPA製剤を併用する場合もあります。 原発性脂質異常症の場合には薬物療法も行われます。

よくある質問

脂質異常症を改善するために、生活習慣をどのように変えればよいのでしょうか?

脂質異常症を改善するためには、食事、運動、禁煙の3つの生活習慣を見直す必要があります。食事面では適切なエネルギー摂取量の範囲内を心がけ、栄養バランスに配慮し1日3食を規則正しく摂ります。間食、アルコール、清涼飲料水は控えましょう。

適切なエネルギー摂取量=標準体重×25~30kcl
※標準体重(kg)=身長(m)×身長(m)×22

運動については、ウォーキングなどの有酸素運動を1日30分程度、毎日が望ましいですが、なるべく週3回程度行うと、皮下脂肪、内臓脂肪、中性脂肪が減少し、HDL-コレステロールの増加が期待できます。
また、喫煙は動脈硬化を促進し、冠動脈疾患の発症リスクが高まります。そのため脂質異常症の患者様は禁煙をします。

高齢になっても脂質異常症の薬は飲み続けるのでしょうか?

高齢になると栄養状態が変化し、脂質も減少する傾向にあります。患者様の生活状況や全身状態などをふまえて、薬の服用を続けるべきか総合的に判断します。

脂質異常症の人が、食べてはいけないものはありますか?

食べてはいけないものは、基本的にありません。
ただし、以下の食品は過剰摂取を控えた方がよいでしょう。

  • 乳製品
  • 脂肪分の多い肉
  • 動物性脂肪(ラード、バターなど)
  • アルコール類
  • 糖分・脂肪分の多い加工食品
  • 清涼飲料水(ソフトドリンク)